川平内科緊急情報のブログ
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5月になりました🎏
前回、生体におけるリンの調節について書きました。今回もリンについて書きます。
血液中のリン濃度が高い状態が続くと様々な合併症の発症リスクが高まります。高リン血症は初期には症状があらわれず、気づかないうちに進行してしまうことがあるため注意が必要です。
《高リン血症が引き起こす代表的な合併症》
➤骨がもろくなり、骨折しやすくなります
高リン血症の状態が続くことで、副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌されるようになり、骨からカルシウムやリンが流出してしまいます(二次性副甲状腺機能亢進症)。その結果、骨がもろくなり、骨折しやすくなります。
➤血管が石灰化して硬くなり、心臓病や脳卒中の発症リスクが高まります
体内で増加したリンとカルシウムが骨以外に沈着することがあります(異所性石灰化)。リンとカルシウムが血管や心臓に沈着して石灰化し、硬くなることで心臓病や脳卒中の発症リスクが高まります。
【高リン血症は“三位一体”で治療します】
高リン血症には、食事療法、透析療法、薬物療法の“三位一体の治療”が重要となります。
<食事療法>
リンの摂取量が適切になるよう食事の内容をコントロールします。
<透析療法>
十分な透析により、できる限り体内のリンを除去します。
<薬物療法>
・高リン血症治療薬(リン吸収阻害薬、リン吸着薬)を服用します。
・症状に合わせて副甲状腺ホルモン(PTH)を押さえる薬(カルシウム受容体作動薬、活性型ビタミンD3製材)を服用します。
🌸4月になりました🌸
今回は生体におけるリンの調節について書きます。
食事から摂取したリンは腸で吸収され血液中に入ってきますが、増えた分は同じだけ便中や尿中に排泄されるため、通常、収支はほぼ変わりません。
骨にはカルシウムとともに大量のリンが貯蔵されており、これを血液中に溶出したり骨に定着させたりして血液中のリンの濃度を調整することができます。
腎機能が低下している慢性腎臓病の患者さんはリンの排泄ができなくなります。つまり、腎機能低下はリンの体内蓄積に直結するため高リン血症の発症に繋がります。
そのためリンの制限が必要となるのです。
3月のブログ
今回は便秘について書きます。
透析患者さんは、カリウム制限のために食物繊維を多く含む食品が制限され、水分摂取も制限されることから、便秘が起こりやすくなります。また、高齢者の場合、腹筋萎縮による腹圧低下も便秘の原因です。透析患者さんの便秘に対し、下記の予防・治療を行います。
①カリウムの摂取量を制限する事で、カリウム抑制薬の服用を減らす
②排便回数や排便時間など規則的な排便習慣を身につける
③腸の蠕動運動を促すため、毎日継続できる散歩など運動量を増やすほか、腹部マッサージや温罨法をする。
④オリゴ糖や下剤・整腸剤の使用を検討する